政略夫婦は念願の初夜に愛を確かめる〜極上御曹司の秘めた独占欲〜


「茉莉花は肌が白いから、痕がくっきり残ってなかなか消えていかないな」


 体を重ねるたび、拓人さんは私のどこかしらに口づけの痕を残していく。

 それは私と拓人さんにしかわからない場所に限られたことだけど、消えかけたときにはまた別の場所に新たな痕が残される。


「消えそうなところにまたつけるからですよ」

「嫌か?」

「え、あ、嫌とかではないですよ」


 むしろ、嬉しいくらいだけど……。

 それはなんとなく言うのが恥ずかしくて心の中だけで思う。


「ただ、ひとりのときに目に入るとドキドキします、無駄に」


 そう言ってみると、拓人さんはフッと笑って私の頬を撫でる。「それなら、ぜんぜん無駄じゃないだろう」と微笑を浮かべた。


「これで一緒にいられないときに茉莉花が俺を思い出しているなら意味があるな」

「あの、拓人さんのことは普通にいつも思い出してますし、これだけではないですよ」


 訂正する私を、拓人さんはクスッと笑って抱き寄せる。「可愛すぎる」とこめかみに唇を寄せた。

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