政略夫婦は念願の初夜に愛を確かめる〜極上御曹司の秘めた独占欲〜
「失礼します」
扉がノックされ入ってきた及川の姿に手元の時計に目を落とす。
「来たか」
「はい。もうお通ししてもよろしいでしょうか」
「ああ、構わない」
及川の確認後、閉まった扉がすぐに開き「どうも~」と弾んだ声が聞こえる。
「拓人、久しぶり」
及川に部屋へと通された早苗は、今日はスーツを身につけてビジネスモード。
こうした正式な仕事の用件で会うのは考えてみればこれが初めてだ。
「久しぶり」
マンションのとなりに住んでいるにも関わらず、最後に会ったのはあの沖縄が最後。
互いに多忙なため不思議なことではない。
「今日は時間をありがとう。こうしてビジネスの場で連城副社長にお会いできるの、光栄だわ」
この間のことは酔っ払いの戯言だと、聞かなかったことにすると言って別れた。
今となっては、早苗もそれで良かったと思っているのかもしれない。今日は一切何事もなかったような態度だ。