政略夫婦は念願の初夜に愛を確かめる〜極上御曹司の秘めた独占欲〜
「よく会いますね、この場所で」
「そうですね」
「買い物ですか?」
「はい。料理教室の日で、その帰りにちょっと買い物をして」
そんな会話の最中、エレベーターが到着する。
「荷物、持ちましょう」
「あ、いえ! 大丈夫です。今日はお手伝いいただくほど大したことないので」
「そうですか? 早苗なんて、少しの荷物でも持ちたがらないですよ。腕が太くなるとか言って」
そんなことを言った隆史さんは苦笑し、「茉莉花さんは偉いな」なんて言う。
またふたりきりでエレベーターに乗り込んだ。
「先日はすみませんでした」
唐突に切り出されたものの、何のことだかはすぐにわかる。
「いえ、こちらこそすみませんでした」
「連城さん、茉莉花さんを叱りませんでしたか?」
「あ、いえ、大丈夫でしたよ」
「そうですか」
話が途切れると、横顔に視線を感じ始める。視線を向けると隆史さんがじっとこっちを見ていた。