政略夫婦は念願の初夜に愛を確かめる〜極上御曹司の秘めた独占欲〜


「あれ、今日は余裕がありますね」

「え?」

「気にならないんですか。連城さんと早苗が会うというのに」


 隆史さんは以前、私がふたりの関係に不安そうな顔をしているのを見ていたからだろう。

 その時とは違う今日の私の様子が不思議に見えたようだ。


「もう、大丈夫です。すみません、以前は変なことを気にかけさせてしまい……」

「大丈夫……それは、何か大丈夫になる何かがあったと、そういうことですか?」


 鋭いツッコミに、つい表情が緩んでしまった。

 拓人さんのことを考えるとドキドキして、心が満たされて笑みが零れる。

 不安になる隙もなく愛情を注いでもらって、今は早苗さんのことも気にならなくなっている。


「夫婦の絆が深まった、とでも言っておきます」


 ちょうど三栗谷夫婦の部屋の前に差しかかり、「では」と頭を下げる。


「なんか、幸せそうな顔してる」


 立ち去り際、隆史さんがそんな言葉を呟いたのが聞こえた。


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