迷彩服の恋人 【完全版】
第一任務*怪我の功名
〝私の苦手な人やモノ〟 ◇都 side◇
ヴー、ヴー、ヴー
「梅雨入りも間近。」と、気象予報士さんが連日のニュース番組やワイドショーで伝えてくれている6月上旬のとある日曜日――。
杉並区にある我が家の夕食時の空気を読まず、私… 望月 都のスマホがテーブルの上で震える。
「もしもし…“観音寺先輩”、何ですか?……えっ、サークルの同窓会ですか?」
誰かと思えば……。
大学時代に同じテニスサークルに所属していて、 未だに私が〝可能な限り関わりたくないと思ってる“観音寺撫子”〟じゃん。
マズイ…お母さんが余計なことを口走る前に場所を変えて話さないと――。
そう思って、歩き出すけど…時すでに遅しだった。
「あら〜。同窓会のお誘いなんてありがたいじゃない?行ってきなさいよ〜。それに同窓会で良い出会いがあるかもしれないし!」
ちょっとお母さん!声が大きい!
先輩に聞こえるように、わざと声のボリューム上げてない?
お母さんって、ほんと〝言葉の裏を読まない人〟だよね。
あなたは〝お金持ちに憧れた人〟だから娘が友達として〝彼女〟を連れてきて…関わりを知った時は嬉しかったでしょうけど、私は〝この人〟の化けの皮が剥がれていく度…嫌悪感しか感じなくなってきてるよ。
まぁ、ここで反論すると100倍ぐらいガミガミ言ってくるし…私の意見なんか否定的に取るから、もう言う気も起きないけど。
{「あら、さすが都さんのお母様。分かっていらっしゃる。…さて。この流れで『NO』とは言わないわよね、望月さん?」}
「はい、必ず参加させますから【出席】にしておいて下さいますか?…それから、こんな娘を誘っていただきましてありがとうございます。これからも仲良くしてやって下さいね。」
はぁ!?ちょっとお母さん!なに勝手に返事してんの!?
それに…私、こんな〝周りの女の子を引き立て役に使うような人〟と仲良くよろしくなんて…やりたくないんだけど。
しかも自分の言いたいことだけ言ったら、切っていくし…。
もう、ほんとに!観音寺財閥かなんか知らないけど…どんだけお嬢様なの!?
「お母さん!先輩に電話越しでも聞こえるように言ったの、わざとでしょ!そんなに私が週末家にいるのが嫌なわけ!?迷惑かけてないよね!?遊びに行くのも自分のお金で行ってるし、実家にいるから生活費もいくらかは渡してる。まだ何か足りないの!?」
「都っ!そんな言い方あんまりじゃない…。お母さんは土日にアニメばかり見てる都が心配で!それに、もう"30"にもなるのに結婚はおろか〝前の彼氏さん〟と別れてから、恋愛の話も無くて心配してるのよ。」
「余計なお世話だよ!お母さんは、お見合いでお父さんと出会って惹かれ合って、良かったのかもしれないけど…私が社会人になってから付き合った2人は〝良い男たち〟じゃなかったんだって!私が〝あまり主張しないタイプ〟だって分かったら見くびってきて…〝上から目線で、自分の欲求ばっかり押し付けてくる人〟だった!そんな男に引っかかる私もバカだけど、〝良い男〟なら家にも連れて来てる。会わせなかった理由を考えてみてよね!」
「えっ!?」
両親と弟の朝也が驚きの声を上げる。
まぁ、そうなるよね。
「ごめん。お父さん、この話黙ってて。でも、ほんとに暴力的だったわけじゃないから安心して。私が断りきれなくて…流されたことがあるって感じかな。…で、この状況でお母さんと面と向かってご飯とか無理だから…ごめん。部屋で頭冷やしてきていい?」
「あぁ、1回離れなさい。」
父の許可が下りたので、私はいったん自分の部屋へ逃げ込んだ。
きっと、ご飯は後で朝也が届けてくれるだろうから――。
「梅雨入りも間近。」と、気象予報士さんが連日のニュース番組やワイドショーで伝えてくれている6月上旬のとある日曜日――。
杉並区にある我が家の夕食時の空気を読まず、私… 望月 都のスマホがテーブルの上で震える。
「もしもし…“観音寺先輩”、何ですか?……えっ、サークルの同窓会ですか?」
誰かと思えば……。
大学時代に同じテニスサークルに所属していて、 未だに私が〝可能な限り関わりたくないと思ってる“観音寺撫子”〟じゃん。
マズイ…お母さんが余計なことを口走る前に場所を変えて話さないと――。
そう思って、歩き出すけど…時すでに遅しだった。
「あら〜。同窓会のお誘いなんてありがたいじゃない?行ってきなさいよ〜。それに同窓会で良い出会いがあるかもしれないし!」
ちょっとお母さん!声が大きい!
先輩に聞こえるように、わざと声のボリューム上げてない?
お母さんって、ほんと〝言葉の裏を読まない人〟だよね。
あなたは〝お金持ちに憧れた人〟だから娘が友達として〝彼女〟を連れてきて…関わりを知った時は嬉しかったでしょうけど、私は〝この人〟の化けの皮が剥がれていく度…嫌悪感しか感じなくなってきてるよ。
まぁ、ここで反論すると100倍ぐらいガミガミ言ってくるし…私の意見なんか否定的に取るから、もう言う気も起きないけど。
{「あら、さすが都さんのお母様。分かっていらっしゃる。…さて。この流れで『NO』とは言わないわよね、望月さん?」}
「はい、必ず参加させますから【出席】にしておいて下さいますか?…それから、こんな娘を誘っていただきましてありがとうございます。これからも仲良くしてやって下さいね。」
はぁ!?ちょっとお母さん!なに勝手に返事してんの!?
それに…私、こんな〝周りの女の子を引き立て役に使うような人〟と仲良くよろしくなんて…やりたくないんだけど。
しかも自分の言いたいことだけ言ったら、切っていくし…。
もう、ほんとに!観音寺財閥かなんか知らないけど…どんだけお嬢様なの!?
「お母さん!先輩に電話越しでも聞こえるように言ったの、わざとでしょ!そんなに私が週末家にいるのが嫌なわけ!?迷惑かけてないよね!?遊びに行くのも自分のお金で行ってるし、実家にいるから生活費もいくらかは渡してる。まだ何か足りないの!?」
「都っ!そんな言い方あんまりじゃない…。お母さんは土日にアニメばかり見てる都が心配で!それに、もう"30"にもなるのに結婚はおろか〝前の彼氏さん〟と別れてから、恋愛の話も無くて心配してるのよ。」
「余計なお世話だよ!お母さんは、お見合いでお父さんと出会って惹かれ合って、良かったのかもしれないけど…私が社会人になってから付き合った2人は〝良い男たち〟じゃなかったんだって!私が〝あまり主張しないタイプ〟だって分かったら見くびってきて…〝上から目線で、自分の欲求ばっかり押し付けてくる人〟だった!そんな男に引っかかる私もバカだけど、〝良い男〟なら家にも連れて来てる。会わせなかった理由を考えてみてよね!」
「えっ!?」
両親と弟の朝也が驚きの声を上げる。
まぁ、そうなるよね。
「ごめん。お父さん、この話黙ってて。でも、ほんとに暴力的だったわけじゃないから安心して。私が断りきれなくて…流されたことがあるって感じかな。…で、この状況でお母さんと面と向かってご飯とか無理だから…ごめん。部屋で頭冷やしてきていい?」
「あぁ、1回離れなさい。」
父の許可が下りたので、私はいったん自分の部屋へ逃げ込んだ。
きっと、ご飯は後で朝也が届けてくれるだろうから――。
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