迷彩服の恋人 【完全版】
えっ!?"助けて!"って祈ってたら帰ってきたんだけど、願い…通じた?
「都ちゃん、ご飯は?また食べに行こうとしたタイミングで捕まったんなら、行っていいわよ。…私、引き受けるから。」
結花先輩、カッコ良すぎるんですけど!!
あなた、〝特撮ヒーローに出てる人〟でしたっけ?
あー。異性の恋人は要らないけど、先輩が彼氏なら…今すぐ付き合ってもいいな!
「結花先輩、今日はお弁当なので買いに行くとかは大丈夫ですし、食べるのもココでいいんですけど、朝香先輩と花村さんの圧が…。それから、例の合コン…今日だったんですね。」
結花先輩なら、これで状況…分かってくれるはず。
「はぁ〜。あれだけ『都ちゃんにも予定あるから無理に誘うな』って釘刺したのに、またこんな強引に…。」
「別に強引にじゃないし…。」
「あのねー!【手を机について…顔を相手の前に"ズイ!"って突き出して、答えを迫ってる絵面】を見て…強引じゃないって思う人間がどこにいるの。しかも2人がかりで!…警察の取調べ室か、ここは!都ちゃんの言い分は!?聞いたの!?」
結花先輩、相変わらず…すごい迫力。
「それは――。」
私に圧をかけていた2人が、言い淀み…小さくなっている。
「ほら、聞いてないんじゃない!だから強引だって言うのよ!…とりあえず今はこれ以上もう"この話"しない!2人に付き合ってると昼休み無くなる。…さ、都ちゃん。ご飯食べちゃお。」
そうやって、結花先輩に話題を打ち切られたことで朝香先輩と花村さんは黙ってフロアを出ていったけど……納得していない表情をしていた――。
"果たして、2人に捕まらずに無事に帰れるかな…"なんてことを考えながら、私はお弁当を広げた。
**
――3,2,1…。
「〝もっちゃん〟!ほんとにお願い!来てほしい。だって、結花の話だと人数集めるの…なかなか大変な仕事の人たちらしいの。向こうが〝結花の彼氏〟を含めずに4人来たとして、こっち3人だったら…気まずいじゃん。」
17時30分の終業時間になるや否や…右隣の席に座る朝香先輩から昼休みのとき同様、声が掛かる。
ちなみに。今…南課長と〝桧原主任〟と各チームのリーダーは、会議に参加していて不在だ。
「良いじゃないですか。男性の方が1人多いなんて、選びたい放題になるわけですよね?…それに、私みたいな〝地味な人間〟がいたら…それこそ空気壊しちゃうから。」
普段、朝香先輩からは「地味だ」と皮肉っぽくよく言われる。
だから、今日はそれを盾に使ってやろうと思う。
「ごめんって、そんなに根に持たなくても。」
ただ、男性陣に失礼かもしれないと言われると揺らぐ自分が出てきてしまうのも確かで――。
朝香先輩や花村さんたちのことはどうでもいいけど、結花先輩の顔は潰したくない…。どうしよう…。
「望月さん。今日、『WIZARD』ですよね、『WIZARD』見るより合コン行きます?」
その、悲しい表情…私がしたいよ。立川くん。
そう、今日は金曜日…【私のお気に入りアニメ】の放送日だ。
そして、立川くんも"そこそこのアニメ好き"のため、仕事の合間でよく語り合うことも少なくない。
「ちょっと、立川くん!余計なこと言わないでよ!…どうせ録画予約ぐらいしてきてるでしょ?」
今「どうせ」って言った!?
〝シオン様〟と〝レイナ姫〟に対して、なんて失礼な!
「許せないんだけどー!」と心の中では絶叫しながら、"朝香先輩にアニメの価値を語る方がバカかな"なんて妙に冷静になってしまい、シラけた私は黙った。
ちなみに〝シオン〟は『WIZARD』の主人公で、国を守る精鋭部隊のリーダーである。そして〝レイナ〟は〝シオン〟が生まれ育った国の姫君で、彼の最愛の人である。
「都ちゃん、ご飯は?また食べに行こうとしたタイミングで捕まったんなら、行っていいわよ。…私、引き受けるから。」
結花先輩、カッコ良すぎるんですけど!!
あなた、〝特撮ヒーローに出てる人〟でしたっけ?
あー。異性の恋人は要らないけど、先輩が彼氏なら…今すぐ付き合ってもいいな!
「結花先輩、今日はお弁当なので買いに行くとかは大丈夫ですし、食べるのもココでいいんですけど、朝香先輩と花村さんの圧が…。それから、例の合コン…今日だったんですね。」
結花先輩なら、これで状況…分かってくれるはず。
「はぁ〜。あれだけ『都ちゃんにも予定あるから無理に誘うな』って釘刺したのに、またこんな強引に…。」
「別に強引にじゃないし…。」
「あのねー!【手を机について…顔を相手の前に"ズイ!"って突き出して、答えを迫ってる絵面】を見て…強引じゃないって思う人間がどこにいるの。しかも2人がかりで!…警察の取調べ室か、ここは!都ちゃんの言い分は!?聞いたの!?」
結花先輩、相変わらず…すごい迫力。
「それは――。」
私に圧をかけていた2人が、言い淀み…小さくなっている。
「ほら、聞いてないんじゃない!だから強引だって言うのよ!…とりあえず今はこれ以上もう"この話"しない!2人に付き合ってると昼休み無くなる。…さ、都ちゃん。ご飯食べちゃお。」
そうやって、結花先輩に話題を打ち切られたことで朝香先輩と花村さんは黙ってフロアを出ていったけど……納得していない表情をしていた――。
"果たして、2人に捕まらずに無事に帰れるかな…"なんてことを考えながら、私はお弁当を広げた。
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――3,2,1…。
「〝もっちゃん〟!ほんとにお願い!来てほしい。だって、結花の話だと人数集めるの…なかなか大変な仕事の人たちらしいの。向こうが〝結花の彼氏〟を含めずに4人来たとして、こっち3人だったら…気まずいじゃん。」
17時30分の終業時間になるや否や…右隣の席に座る朝香先輩から昼休みのとき同様、声が掛かる。
ちなみに。今…南課長と〝桧原主任〟と各チームのリーダーは、会議に参加していて不在だ。
「良いじゃないですか。男性の方が1人多いなんて、選びたい放題になるわけですよね?…それに、私みたいな〝地味な人間〟がいたら…それこそ空気壊しちゃうから。」
普段、朝香先輩からは「地味だ」と皮肉っぽくよく言われる。
だから、今日はそれを盾に使ってやろうと思う。
「ごめんって、そんなに根に持たなくても。」
ただ、男性陣に失礼かもしれないと言われると揺らぐ自分が出てきてしまうのも確かで――。
朝香先輩や花村さんたちのことはどうでもいいけど、結花先輩の顔は潰したくない…。どうしよう…。
「望月さん。今日、『WIZARD』ですよね、『WIZARD』見るより合コン行きます?」
その、悲しい表情…私がしたいよ。立川くん。
そう、今日は金曜日…【私のお気に入りアニメ】の放送日だ。
そして、立川くんも"そこそこのアニメ好き"のため、仕事の合間でよく語り合うことも少なくない。
「ちょっと、立川くん!余計なこと言わないでよ!…どうせ録画予約ぐらいしてきてるでしょ?」
今「どうせ」って言った!?
〝シオン様〟と〝レイナ姫〟に対して、なんて失礼な!
「許せないんだけどー!」と心の中では絶叫しながら、"朝香先輩にアニメの価値を語る方がバカかな"なんて妙に冷静になってしまい、シラけた私は黙った。
ちなみに〝シオン〟は『WIZARD』の主人公で、国を守る精鋭部隊のリーダーである。そして〝レイナ〟は〝シオン〟が生まれ育った国の姫君で、彼の最愛の人である。