迷彩服の恋人 【完全版】
「望月、無理するなよ。…まぁ。"いつもの合コン"通り、桧原が幹事のようだから上手く采配してくれると思うが…。」
不意に窓際の課長席から聞こえてきた、南課長の声。
普段や合コンの時なんかに、私が朝香先輩や花村さんに【いいように使われている】のは課長も知っている。
【南課長が私を心配する理由】には…心当たりが無いわけでもない。
でも、私は〝上司と部下〟以上には思えないから…ごめんなさい。
「南課長、そこはご心配なく。私がついてるので。」
会話が一区切りついたのを見計らって、結花先輩は再び私の手を引きフロアを出た。
「ごめんね、都ちゃん。きっと都ちゃんのことだから、私を立ててくれたり相手の男性陣のことなんかも考えてくれたんだよね。もうちょっと早く会議が終われば逃がしてあげられたんだけど…。この埋め合わせは後日絶対にするから。…メイク、メガネにも合うようにしておくわね!コンタクト入らなかったみたいだから。」
化粧室に入り、私のメイクを直しながら先輩が口を開く。
「はい。あっ…ありがとうございます、先輩。そうなんです、おかげで朝香先輩たちに『入らないの?』とか『ダサッ!』とか散々言われましたけど。埋め合わせなんていいです。……さっきの『メイク直してから行くわよ』の一言で十分です、カッコよくて痺れたので。やっぱり、先輩…大好きです!」
「あはは、もうほんとに可愛い。私も大好きよ。…さて。はい、できた!うん、最高に可愛い!…これぞ〝営業の陰マドンナ〟よね。」
えぇっ!?私がマドンナ!?
うそ、そんな風に言われてるの?
いやいや、ナイ!それはナイよ!
皆さん、眼科に行ってきていただいた方がいいのでは…?
「あー。その表情は自覚ないわね?本人が分かってないだけで、けっこう営業の独身男性は都ちゃんのこと狙ってるわよ?『謙虚で気遣いができて〝痒いところに手が届く人〟だし、努力家で…料理が上手そう』って。」
「えぇっ!?褒めすぎなのでは…!?」
「そう?私はけっこう当たってると思うけど?…まぁ。何にしても、本当は巴とか花村より都ちゃんの方が魅力的だってことよ。営業の男性陣も巴と花村の話は、もう話半分で聞いてるわよ。まぁ、あそこまで彼氏と続かないなら…口説く気も失せるでしょ。」
そう言いながら、結花先輩は鏡に向かって"あっかんべー"と舌を出した。
こんなに面倒見の良い結花先輩すら呆れてるし、そのうち"痛い目"見なきゃいいけど…。
「…さ、行こっか!」
「はい。」
こうして、私と結花先輩は化粧直しを終えて朝香先輩たちと合流し…今日の会場となる新宿の洋風居酒屋〔Nature〕へと向かった。
〔幸味食品〕のオフィスの最寄りである代々木駅から、地下鉄乗車前に…家に夕食が要らなくなったことを電話した。
当然母は不機嫌になったけど、参加するのが合コンであること伝えたら…半分くらいは機嫌が戻ったので"機嫌直るのかよ!"と内心でツッコんだ。
そして、目的地に向かう地下鉄の車内では「望月先輩って、何か運ないですよねー。男の人に会うって時にコンタクト入らないなんてー。」と、花村さんに蒸し返すように言われ…イライラしながら電車に揺られていた。
"だから何よ!"と心の中では悪態をつきながら、表向きには「そうね、ほんとに…。」と同調しておく。
不意に窓際の課長席から聞こえてきた、南課長の声。
普段や合コンの時なんかに、私が朝香先輩や花村さんに【いいように使われている】のは課長も知っている。
【南課長が私を心配する理由】には…心当たりが無いわけでもない。
でも、私は〝上司と部下〟以上には思えないから…ごめんなさい。
「南課長、そこはご心配なく。私がついてるので。」
会話が一区切りついたのを見計らって、結花先輩は再び私の手を引きフロアを出た。
「ごめんね、都ちゃん。きっと都ちゃんのことだから、私を立ててくれたり相手の男性陣のことなんかも考えてくれたんだよね。もうちょっと早く会議が終われば逃がしてあげられたんだけど…。この埋め合わせは後日絶対にするから。…メイク、メガネにも合うようにしておくわね!コンタクト入らなかったみたいだから。」
化粧室に入り、私のメイクを直しながら先輩が口を開く。
「はい。あっ…ありがとうございます、先輩。そうなんです、おかげで朝香先輩たちに『入らないの?』とか『ダサッ!』とか散々言われましたけど。埋め合わせなんていいです。……さっきの『メイク直してから行くわよ』の一言で十分です、カッコよくて痺れたので。やっぱり、先輩…大好きです!」
「あはは、もうほんとに可愛い。私も大好きよ。…さて。はい、できた!うん、最高に可愛い!…これぞ〝営業の陰マドンナ〟よね。」
えぇっ!?私がマドンナ!?
うそ、そんな風に言われてるの?
いやいや、ナイ!それはナイよ!
皆さん、眼科に行ってきていただいた方がいいのでは…?
「あー。その表情は自覚ないわね?本人が分かってないだけで、けっこう営業の独身男性は都ちゃんのこと狙ってるわよ?『謙虚で気遣いができて〝痒いところに手が届く人〟だし、努力家で…料理が上手そう』って。」
「えぇっ!?褒めすぎなのでは…!?」
「そう?私はけっこう当たってると思うけど?…まぁ。何にしても、本当は巴とか花村より都ちゃんの方が魅力的だってことよ。営業の男性陣も巴と花村の話は、もう話半分で聞いてるわよ。まぁ、あそこまで彼氏と続かないなら…口説く気も失せるでしょ。」
そう言いながら、結花先輩は鏡に向かって"あっかんべー"と舌を出した。
こんなに面倒見の良い結花先輩すら呆れてるし、そのうち"痛い目"見なきゃいいけど…。
「…さ、行こっか!」
「はい。」
こうして、私と結花先輩は化粧直しを終えて朝香先輩たちと合流し…今日の会場となる新宿の洋風居酒屋〔Nature〕へと向かった。
〔幸味食品〕のオフィスの最寄りである代々木駅から、地下鉄乗車前に…家に夕食が要らなくなったことを電話した。
当然母は不機嫌になったけど、参加するのが合コンであること伝えたら…半分くらいは機嫌が戻ったので"機嫌直るのかよ!"と内心でツッコんだ。
そして、目的地に向かう地下鉄の車内では「望月先輩って、何か運ないですよねー。男の人に会うって時にコンタクト入らないなんてー。」と、花村さんに蒸し返すように言われ…イライラしながら電車に揺られていた。
"だから何よ!"と心の中では悪態をつきながら、表向きには「そうね、ほんとに…。」と同調しておく。