迷彩服の恋人 【完全版】
深入りされたくない俺の性格を知っていて、俺の【本当の趣味】も知っている志貴先輩と桧原さんは…声を噛み殺してクスクス笑っている。
そんな中、俺の正面に座る望月さんだけは…つまらないって顔をするわけでもなく耳を傾けて聞くれていた。
けれど、天井にチラッと視線を投げて何か考えを巡らせているような仕草をしているような気もする。
そして、俺は俺で望月さんのそんな様子をなんとなく見ていただけなのに、パチっと目が合ったらニコッと笑ってくれるのだ。
やっぱり、あなたといると穏やかな気持ちに…なぜだか落ち着きます。
「さて、じゃあ…女性陣の自己紹介に移ろうか。」
志貴先輩が促すと、その後に続いて桧原さんが中崎に話を振る。
「中崎くんは、私と会う機会って今までにあったかな?…私の記憶だと今日が初めてだと思うんだけど…。」
「そうですね。志貴先輩と土岐先輩の会話からはよくお名前を聞くんですけど、お会いするのは今日が初めてかと思います。」
さすがだ――。
俺のことが言及される前に、女性陣の自己紹介へ話題を強制シフトしてくれている。
「じゃあ、改めて…。桧原 結花です。今日来てるメンバーは全員〔幸味食品〕の"営業"で働いてて、私がそこの〝主任〟なの。」
先輩から、桧原さんが会社員なのは聞いてたけど…そうか、〔幸味食品〕さんか。何かの折に、俺も母さんに伝えておこうかな。
「〔幸味食品〕って、『みんなで食べよう、"幸せごはん"』の…あの〔幸味食品〕ですか?」
「あら、うちの会社のキャッチコピーがすぐ出てくるなんて…中崎くんやるわね!もしかして、ご家族が〔幸味〕の商品をご贔屓にしていただいてるかしら?…もしそうなら、帰省した時にでもよろしくお伝え下さいな。」
「俺、〔幸味食品〕さんの冷凍のお好み焼き…めちゃくちゃ好きなんですよ!あの生地のふわふわ加減がマジで"幸せごはん"ですっ!」
「あら、製造部と営業で共有させていただくわね!貴重なご意見ありがとうございます!それから今度差し入れするわね!……まぁ、〝世話好きの姉さん〟って感じだからよろしくね!…じゃあ、巴…バトンタッチ。」
「結花。どんだけ喋るの、と思ったわ。朝香 巴、結花と同期の32歳です。どちらかといえば、外に出てる方が好きですね。好きなタイプは〝優しい人〟ですね。よろしくお願いします。」
〝優しい人〟ねぇ…。信用できねぇ、その言葉。
「花村 佳奈、22歳でーす。彼氏募集中で、デートするならいろんな所に行きたいでーす。よろしくお願いしま〜す。」
桧原さんにしては珍しい。
何でこんな〝自衛官の彼女に向いてない子〟を連れてきたんだ?
――「デートするならいろんな所に行きたいです」?
デートできるかどうかすら自衛官は危ういから…あなたの恋人は自衛官じゃない方が良いですよ、花村さん。
「栗原 万里奈、22歳です。佳奈に誘われたことと…彼氏欲しくて参加しました。週末はよく買い物に出かけてます。」
花村さんもそうだけど…栗原さんも、確かに洒落てはいるな。付き合ったら、服とかねだられそうだな。
花村さんも栗原さんも、〝俺の苦手なタイプの女性〟みたいだな…。
昔付き合ってた女性の性格…そのままだ。
ほんとに勘弁して――。
そんな中、俺の正面に座る望月さんだけは…つまらないって顔をするわけでもなく耳を傾けて聞くれていた。
けれど、天井にチラッと視線を投げて何か考えを巡らせているような仕草をしているような気もする。
そして、俺は俺で望月さんのそんな様子をなんとなく見ていただけなのに、パチっと目が合ったらニコッと笑ってくれるのだ。
やっぱり、あなたといると穏やかな気持ちに…なぜだか落ち着きます。
「さて、じゃあ…女性陣の自己紹介に移ろうか。」
志貴先輩が促すと、その後に続いて桧原さんが中崎に話を振る。
「中崎くんは、私と会う機会って今までにあったかな?…私の記憶だと今日が初めてだと思うんだけど…。」
「そうですね。志貴先輩と土岐先輩の会話からはよくお名前を聞くんですけど、お会いするのは今日が初めてかと思います。」
さすがだ――。
俺のことが言及される前に、女性陣の自己紹介へ話題を強制シフトしてくれている。
「じゃあ、改めて…。桧原 結花です。今日来てるメンバーは全員〔幸味食品〕の"営業"で働いてて、私がそこの〝主任〟なの。」
先輩から、桧原さんが会社員なのは聞いてたけど…そうか、〔幸味食品〕さんか。何かの折に、俺も母さんに伝えておこうかな。
「〔幸味食品〕って、『みんなで食べよう、"幸せごはん"』の…あの〔幸味食品〕ですか?」
「あら、うちの会社のキャッチコピーがすぐ出てくるなんて…中崎くんやるわね!もしかして、ご家族が〔幸味〕の商品をご贔屓にしていただいてるかしら?…もしそうなら、帰省した時にでもよろしくお伝え下さいな。」
「俺、〔幸味食品〕さんの冷凍のお好み焼き…めちゃくちゃ好きなんですよ!あの生地のふわふわ加減がマジで"幸せごはん"ですっ!」
「あら、製造部と営業で共有させていただくわね!貴重なご意見ありがとうございます!それから今度差し入れするわね!……まぁ、〝世話好きの姉さん〟って感じだからよろしくね!…じゃあ、巴…バトンタッチ。」
「結花。どんだけ喋るの、と思ったわ。朝香 巴、結花と同期の32歳です。どちらかといえば、外に出てる方が好きですね。好きなタイプは〝優しい人〟ですね。よろしくお願いします。」
〝優しい人〟ねぇ…。信用できねぇ、その言葉。
「花村 佳奈、22歳でーす。彼氏募集中で、デートするならいろんな所に行きたいでーす。よろしくお願いしま〜す。」
桧原さんにしては珍しい。
何でこんな〝自衛官の彼女に向いてない子〟を連れてきたんだ?
――「デートするならいろんな所に行きたいです」?
デートできるかどうかすら自衛官は危ういから…あなたの恋人は自衛官じゃない方が良いですよ、花村さん。
「栗原 万里奈、22歳です。佳奈に誘われたことと…彼氏欲しくて参加しました。週末はよく買い物に出かけてます。」
花村さんもそうだけど…栗原さんも、確かに洒落てはいるな。付き合ったら、服とかねだられそうだな。
花村さんも栗原さんも、〝俺の苦手なタイプの女性〟みたいだな…。
昔付き合ってた女性の性格…そのままだ。
ほんとに勘弁して――。