迷彩服の恋人 【完全版】
「ふふ。いえ、本当にお上手でしたから……。さぁて。それじゃあ…土岐さんのご要望にお応えして、〝私の推しの方々〟の話をしていくとします。」
「よろしくお願いします!」
あは、そんなに声大きくないけど掛け声みたいな言い方になってる。さすが自衛官さん。
「まず前提として…。私の場合は声優業界、俳優業界、音楽業界、それぞれで〝推し〟がいます。1人に熱中する人もいますけど…複数の〝推し〟がいる人もいます。」
「ほうほう、なるほど。」
「……で、ですね!うーん、そうだなぁ…土岐さん、車がお好きなので…そのあたりの…。あっ!車といえば、“和史さん”の"あの作品"がオススメできるかも。でも、あるかな…10年前の映画なので。ちょっと待って下さいね。」
私はそう言って、ストリーミングサイトで検索を始める…。
「……あ、あった!『ミッドラ』。土岐さん、気が向いたらこの作品見てみて下さい。『Midnight Driving 〜湾岸に魅せられた者たち〜』っていう、【深夜の高速道路に〝走り屋〟さんたちが集まって…カーチェイスする話】なんです。私の場合、車のことはそんなに分からなかったので推しをスクリーンで観るためだけに、当時…劇場へ行ったんですけど…。車種も結構いろいろ出てるので車がお好きな土岐さんなら、より楽しめるんじゃないかと――。」
「あっ。これ、原作のマンガを読もうと思って…時間無くて読んでないやつだ。そうか、実写映画があったんですね!それに、僕の好みに合いそうな作品をわざわざ選んで勧めて下さるなんて…ありがとうございます。時間作って、必ず観ますね!」
「ちなみに、私の推しの“進藤和史さん”は〝ポルシェが愛車のドクター役〟なんです!」
「〝ドクターでポルシェ乗りの役〟ときましたか!〝裏の主人公〟的な役どころなのかな…。“進藤 和史さん”、意識して観てみることにします。…今日"この場"には来ていないですが、同室に“加納”という者がいまして…。彼もマンガやアニメのこと詳しいので、いろいろ聞きながら観ようかな…。」
「そう!まさに〝裏主人公〟です…〝主人公〟のライバル役なので。……加納さん。その方が知ってる作品だといいのですが……。」
――と、そこへ。
「お2人さん、どう?…20分ぐらい経つけど、戻ってこないから…覗きに来てみた。」
「えっ!?そんなに経ってたんですか!?結花先輩。」と彼女に聞き返すと、「そうよ。」と返ってくる。
「やだ。土岐くん。教えてあげてよ…時間ぐらい。よっぽど居心地が良かったのね。もう…連絡先交換しちゃえば?」
「えっ!?」
結花先輩、なんて爆弾発言を…!
やめて下さいよー!
そう思って戸惑いまくってる私たち2人をよそに、先輩は「2人とも戸惑いすぎだから!時計見るのを忘れるぐらい、話盛り上がったんでしょ?…なら、連絡先聞くのなんて不自然じゃないわよ。"もっと話してたい!"とか、ちょっとでも思わなかった?」と問い掛けてくる。
はは、私たちの本音を探るようにジーッと見つめてくる先輩がこわいー!
私は、もちろん土岐さんともっとお話したいけど…。
4,5年間、〝恋愛〟というものから縁遠い生活をした私には…連絡先を聞くなんて、ハードルが高すぎる!
「………ふぅ。はい!2人ともスマホ出して!」
土岐さんの本音は分からないけど、少なくとも私の本音を見透かしているであろう結花先輩はそう促してくれる。
これはきっと先輩からのアシストだ。
…恥ずかしいけど、何か言わなきゃ!
「…あ、あのっ!私は…土岐さんともっとお話したいです!良かったら、さっき話した映画の感想を聞かせて下さい。」
お願い…!これで伝わって、土岐さん!
「よろしくお願いします!」
あは、そんなに声大きくないけど掛け声みたいな言い方になってる。さすが自衛官さん。
「まず前提として…。私の場合は声優業界、俳優業界、音楽業界、それぞれで〝推し〟がいます。1人に熱中する人もいますけど…複数の〝推し〟がいる人もいます。」
「ほうほう、なるほど。」
「……で、ですね!うーん、そうだなぁ…土岐さん、車がお好きなので…そのあたりの…。あっ!車といえば、“和史さん”の"あの作品"がオススメできるかも。でも、あるかな…10年前の映画なので。ちょっと待って下さいね。」
私はそう言って、ストリーミングサイトで検索を始める…。
「……あ、あった!『ミッドラ』。土岐さん、気が向いたらこの作品見てみて下さい。『Midnight Driving 〜湾岸に魅せられた者たち〜』っていう、【深夜の高速道路に〝走り屋〟さんたちが集まって…カーチェイスする話】なんです。私の場合、車のことはそんなに分からなかったので推しをスクリーンで観るためだけに、当時…劇場へ行ったんですけど…。車種も結構いろいろ出てるので車がお好きな土岐さんなら、より楽しめるんじゃないかと――。」
「あっ。これ、原作のマンガを読もうと思って…時間無くて読んでないやつだ。そうか、実写映画があったんですね!それに、僕の好みに合いそうな作品をわざわざ選んで勧めて下さるなんて…ありがとうございます。時間作って、必ず観ますね!」
「ちなみに、私の推しの“進藤和史さん”は〝ポルシェが愛車のドクター役〟なんです!」
「〝ドクターでポルシェ乗りの役〟ときましたか!〝裏の主人公〟的な役どころなのかな…。“進藤 和史さん”、意識して観てみることにします。…今日"この場"には来ていないですが、同室に“加納”という者がいまして…。彼もマンガやアニメのこと詳しいので、いろいろ聞きながら観ようかな…。」
「そう!まさに〝裏主人公〟です…〝主人公〟のライバル役なので。……加納さん。その方が知ってる作品だといいのですが……。」
――と、そこへ。
「お2人さん、どう?…20分ぐらい経つけど、戻ってこないから…覗きに来てみた。」
「えっ!?そんなに経ってたんですか!?結花先輩。」と彼女に聞き返すと、「そうよ。」と返ってくる。
「やだ。土岐くん。教えてあげてよ…時間ぐらい。よっぽど居心地が良かったのね。もう…連絡先交換しちゃえば?」
「えっ!?」
結花先輩、なんて爆弾発言を…!
やめて下さいよー!
そう思って戸惑いまくってる私たち2人をよそに、先輩は「2人とも戸惑いすぎだから!時計見るのを忘れるぐらい、話盛り上がったんでしょ?…なら、連絡先聞くのなんて不自然じゃないわよ。"もっと話してたい!"とか、ちょっとでも思わなかった?」と問い掛けてくる。
はは、私たちの本音を探るようにジーッと見つめてくる先輩がこわいー!
私は、もちろん土岐さんともっとお話したいけど…。
4,5年間、〝恋愛〟というものから縁遠い生活をした私には…連絡先を聞くなんて、ハードルが高すぎる!
「………ふぅ。はい!2人ともスマホ出して!」
土岐さんの本音は分からないけど、少なくとも私の本音を見透かしているであろう結花先輩はそう促してくれる。
これはきっと先輩からのアシストだ。
…恥ずかしいけど、何か言わなきゃ!
「…あ、あのっ!私は…土岐さんともっとお話したいです!良かったら、さっき話した映画の感想を聞かせて下さい。」
お願い…!これで伝わって、土岐さん!