ツンデレラ

多感な時期⑥

彼女は食事代を払った。

ごちそうさまと言うと、当然でしょと微笑んだ。

帰りにビデオ屋で映画のDVDを借りた。

内容は高校生の夏休みを演じたものだった。

僕らはソファに座り観ていた。

彼女は帰りの途中にスーパーで買ったビールを飲み、僕はポップコーンを食べながらコーラを飲んでいた。

時折彼女がポップコーンを取ろうとすると髪の毛のいい香りがした。

僕の考え過ぎだろうか。

彼女は小悪魔を演じて僕を酔わせようとしているのか。

それとも彼女は無邪気な女の子でお酒の酔いから解放的になってしまっているのか。

僕は真剣に映画を観ようと試みたが、どつしても集中できなかった。

彼女は時折あくびをしたり、一瞬顔が下を向いたりしていた。

仕事で疲れて眠たいのだろう。

僕は二階からブランケットを持って降り彼女に被せてあげた。

彼女はだいぶ酔っていたようだ。

ニコリと微笑むと横になり僕の太ももの横に頭を置いた。

一瞬彼女の髪を撫でそうになったが正気を取り戻しやめた。

彼女は横になりながらも映画を観ていた。

思春期の男の子に対して彼女は幾分卑怯にも感じた。

こんな状況で落ち着いていられる男がいるだろうか。

映画が終わると彼女は寝てしまっていた。

僕は今にも彼女に抱きつきたい衝動を抑えながらシャワーを浴びた。

彼女は僕に興味があるわけではない、そう何度も心で叫んだ。

シャワーから上がると彼女は服を脱ぎながら浴室へ行った。

僕はすかさず目を逸らし水を一杯飲んで部屋へと戻った。

気を紛らわそうと音楽を聴いた。

しかし音楽は僕の心をより一層高調させた。

なんでこんなことになったのだろう。

僕は音楽に意識を集中させた。

階段を上る音がすると僕の部屋の前で音が止まりノックの音が鳴った。

ドアが開くと彼女はよれよれのTシャツとハーフパンツを履いていた。

「私だって立派な女性なんだから」
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