インビジブル・ブルー
「やめとけ」

僕はため息混じりに呟いた。

「食いちぎられるぞ」

「いいじゃない。こんなに綺麗に包帯を巻いてあげたんだから」

ガクはウットリと少女の左腕の包帯に指を這わせた。股間がズボンの上からでも分かるほど勃起している。まるで馬のようにクソでかい。

少女が本当に処女なのかどうかは知らないが、あれで貫かれたなら祈願成就。さぞかし満足して帰ることだろう。もちろん、帰してもらえたらの話だが。

「それとも何?やっぱアンタの知り合いだったりするわけ?それはそれで萌える設定だけど」

「好きにしろ」

僕はやれやれと肩をすくめた。まったく呆れた性癖だ。もっとも、自分だって人のことは言えないのだが。

「じゃ、一晩借りるわ」

ガクはニヤリと立ち上がった。そのまま少女を軽々と持ち上げる。外見からは想像もつかない腕力だ。

「寝たまま縛るのか?」

「まさか。起きがけを狙うのよ。少しは抵抗してもらわないとね」

ガクがくくっと喉を鳴らす。

とんだ悪趣味野郎だ。

僕はもう一度肩をすくめ、無言で台所に向かった。

< 10 / 70 >

この作品をシェア

pagetop