インビジブル・ブルー
「う……」

小汚いソファの上で、少女が呻いた。さっきまで死人のようだった肌に、にわかに生気が戻っていた。

「ようやくお目覚めか」

僕の声が届いたのか、おもむろにレイは跳ね起きた。

「……お前」

上半身を起こし、今にも飛びかかってきそうな勢いで僕を睨みつける。まったく気性の荒い女だ。

「ホント、野生児ね」

隣でニヤつくガクを一瞥し、レイはソファから立ち上がった。途端にバランスを崩してよろめいた。足元が覚束ない。貧血のせいだろう。

「どうしたらいい?」

壁に寄り掛かり、レイが言った。相変わらずの形相だ。

「何が?」

「どうしたら私を抱く?」

「抱く?お前歳いくつだよ。せいぜい十五六だろうが。犯罪だぜ」

「うるさい!」

レイは側にあったコート掛けを床に叩きつけ、ズルリと体を傾けた。

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