インビジブル・ブルー
「どういうことだ?」

僕の問いに答えず、レイは短いプリーツスカートのホックに手を伸ばした。指先が微かに震えていた。

「やめろ……」

咄嗟に僕は呻いた。胸の奥で、心が軋む音が聞こえた。

レイは止めなかった。

細く可憐な指でホックを掴んだ。

少女の体が揺れた。包帯のない右腕に、ミミズのように赤く腫れたリストカットの痕が幾筋も見えた。

「……よせ」

と呟いたその時、少女の腕をガクがねじり上げた。

レイが目を見開いた。

「何をする!」

叫んだのは僕だった。思いもしない衝動だった。

「気が変わったわ」

とガクは言った。

「女、あなたなんでそんなに自分を追い込もうとするの?」

レイの両手首を後ろ手に縛り上げ、手早く乳房の上下に麻縄を掛ける。その表情は冷淡に微笑んでいた。

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