インビジブル・ブルー
レイは奥歯を噛みしめ、背後のガクを睨みつけた。
「ふふ、好きよ。その目」
ガクは慣れた手つきで少女の上半身を縄で緊縛し、ぐいと顎を掴み上げた。
レイは黙っていた。
ただ、目だけが異様に底光りし、妖しい黒炎をたぎらせていた。
僕はそっと自分の腕を掴んだ。腕の中には、もうずいぶん長く忘れていた感覚が眠っていた。僕もまた、かつてはリストカットの常習犯だった。
中学生のころ、僕は極度の対人恐怖症に陥ったことがあった。あの頃の僕は、周りの目が怖くて仕方がなかった。
何の取り柄もない自分。つまらない。ちっぽけな存在。不要の物。汚物。なぜ生きているのだろう?
毎日そんなことばかり考えていた。いくら振り払おうとしても、気がつけばそんなどす黒い感情が脳ミソに流れ込み、僕の思考を侵していくのだ。
やがて生と死の境界が消えた。
自分は生きているのか、それとも死んでいるのか。分からなくなった。死にたいと思いながら、その一方で生きている証が欲しかった。
だから切った。
泣きながら切った。
刺すような鋭い痛みが脳を刺激した。痛みだけが、僕を繋ぎ止めてくれた。
ああ、僕はまだ生きている。
滴り落ちる真っ赤な血筋を見つめながら、漠然と「死」について考えていた。
「ふふ、好きよ。その目」
ガクは慣れた手つきで少女の上半身を縄で緊縛し、ぐいと顎を掴み上げた。
レイは黙っていた。
ただ、目だけが異様に底光りし、妖しい黒炎をたぎらせていた。
僕はそっと自分の腕を掴んだ。腕の中には、もうずいぶん長く忘れていた感覚が眠っていた。僕もまた、かつてはリストカットの常習犯だった。
中学生のころ、僕は極度の対人恐怖症に陥ったことがあった。あの頃の僕は、周りの目が怖くて仕方がなかった。
何の取り柄もない自分。つまらない。ちっぽけな存在。不要の物。汚物。なぜ生きているのだろう?
毎日そんなことばかり考えていた。いくら振り払おうとしても、気がつけばそんなどす黒い感情が脳ミソに流れ込み、僕の思考を侵していくのだ。
やがて生と死の境界が消えた。
自分は生きているのか、それとも死んでいるのか。分からなくなった。死にたいと思いながら、その一方で生きている証が欲しかった。
だから切った。
泣きながら切った。
刺すような鋭い痛みが脳を刺激した。痛みだけが、僕を繋ぎ止めてくれた。
ああ、僕はまだ生きている。
滴り落ちる真っ赤な血筋を見つめながら、漠然と「死」について考えていた。