インビジブル・ブルー
「痛み……か。そんなのは幻よ」
とガクは言った。
そして僕の画材入れに手を伸ばし、削ったばかりの鉛筆を自分の腕に突き立てた。
「ひぃッ」
短い悲鳴をあげ、目を見開いたレイが体を強ばらせた。
「ああ……」
ガクはウットリした声を零し、鉛筆を持つ手に力を入れた。鉛筆と肉の隙間から、ドロリとした鮮血が滴り落ちた。
レイが身をよじった。膝がガクガクと震えていた。他人の血が怖くて仕方がないのだ。
「見なさいよ」
ガクは少女の目の前に、幾筋もの血が滝のように伝い落ちる腕を突き出した。
レイが目を背ける。その顎をガクが引き戻した。
瞳が泳ぐ。
少女は、明らかに狼狽していた。
「痛みはすべて快楽に変わるのよ。私がそれを教えてあげるわ」
ガクの目が爛々と輝いていた。
それはきっと、瞳に映るランタンのせいだけではなかった。
とガクは言った。
そして僕の画材入れに手を伸ばし、削ったばかりの鉛筆を自分の腕に突き立てた。
「ひぃッ」
短い悲鳴をあげ、目を見開いたレイが体を強ばらせた。
「ああ……」
ガクはウットリした声を零し、鉛筆を持つ手に力を入れた。鉛筆と肉の隙間から、ドロリとした鮮血が滴り落ちた。
レイが身をよじった。膝がガクガクと震えていた。他人の血が怖くて仕方がないのだ。
「見なさいよ」
ガクは少女の目の前に、幾筋もの血が滝のように伝い落ちる腕を突き出した。
レイが目を背ける。その顎をガクが引き戻した。
瞳が泳ぐ。
少女は、明らかに狼狽していた。
「痛みはすべて快楽に変わるのよ。私がそれを教えてあげるわ」
ガクの目が爛々と輝いていた。
それはきっと、瞳に映るランタンのせいだけではなかった。