インビジブル・ブルー
2
朝日を浴びる沢を渡り、獣道を北へ斜めにに登る。さらに幾つかの杉林を抜け、尾根を越えること一時間あまり。僕は一度立ち止まり、呼吸を整えた。
森の空気を吸い、大地を踏みしめるたびに、僕の中で渦巻く邪念が、吐き出す息と共に霧散し、浄化されていく。
これでいい。
胸の中で独りごち、僕は再び獣道を歩き出した。
目的地は決まっていた。
画材を抱え、脇目もふらず、僕は黙々と歩いた。
途中、おもむろに昨夜のレイの裸体が脳裏に蘇った。
縛られたまま蝋燭を垂らされ、鞭の痛みに耐えながら、ガクに貫かれていく様を想像した。
それでも僕は歩き続けた。
呼吸が乱れた。
急に足が重くなった。
ぐらりと視界がねじ曲がった。
必死で胸を掻きむしり、悪霊を振り払おうとした。
でも、燻り始めた黒い炎は、もはや消すことはできなかった。
朝日を浴びる沢を渡り、獣道を北へ斜めにに登る。さらに幾つかの杉林を抜け、尾根を越えること一時間あまり。僕は一度立ち止まり、呼吸を整えた。
森の空気を吸い、大地を踏みしめるたびに、僕の中で渦巻く邪念が、吐き出す息と共に霧散し、浄化されていく。
これでいい。
胸の中で独りごち、僕は再び獣道を歩き出した。
目的地は決まっていた。
画材を抱え、脇目もふらず、僕は黙々と歩いた。
途中、おもむろに昨夜のレイの裸体が脳裏に蘇った。
縛られたまま蝋燭を垂らされ、鞭の痛みに耐えながら、ガクに貫かれていく様を想像した。
それでも僕は歩き続けた。
呼吸が乱れた。
急に足が重くなった。
ぐらりと視界がねじ曲がった。
必死で胸を掻きむしり、悪霊を振り払おうとした。
でも、燻り始めた黒い炎は、もはや消すことはできなかった。