インビジブル・ブルー
……なぜ?

なぜ少女はあれほどまでも僕に怒りをぶつけてくるのか。自分の胸に聞けとは、いったいどういうことなのか。

僕はレイを知らなかった。単に忘れているわけではない。本当に知らなかった。ところがレイは僕を知っていた。そしてこの森にやって来た。

おかしい。

何かがおかしい。

もしかして僕は、記憶の一部を失ってしまったのだろうか。精神が悲鳴を上げ、壊れ始めているのだろうか?

何より、どうして僕はガクに嫉妬し、苛立っているのだろうか。

レイのことがどうしてこんなに気になるのだろうか。

どうして、どうして、

どうして――



止めどなく沸き上がり、繰り返される疑問と嫉妬の連鎖を断ち切れないまま、僕は地面を這いまわった。

畜生、畜生と譫言をこぼし、無我夢中で森の奥を目指した。

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