インビジブル・ブルー
耳の奥で嫌な音がした。砂利が軋む音のようだった。

他には何の音も聞こえなかった。

虫の声も、

小川のせせらぎも、

寒空を裂く風の音さえも……



僕は再び目を閉じた。

一筋の涙が頬を伝い、ひび割れた鼓膜に堪っていった。

この冷え切った涙を代償に、僕はあの日の夢を見ることができた。

「狂ってるんだよ」

ともう一人の僕が言った。

そうだ。

そのとおりだと僕は思った。



僕は、"狂っている"

きっと、ガクやレイ以上に、僕の精神は壊れているに違いない。

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