インビジブル・ブルー
いつしか僕は駈けていた。

山の斜面を、文字どおり転がるように駈けていた。

僕の視界はただ一点だけを見つめ、周りの景色はすべて僕の後方に吹き飛んでいった。

待ってくれ。

止めてくれ。

心の中でガクと少女に訴えながら、呼吸すら忘れて僕は駈けた。



分かったのだ。

ようやく僕は気付いたのだ。

あの少女は……

レイは、僕と彼女のたった一人の娘なのだと。

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