インビジブル・ブルー
僕はもう一度レイを見下ろした。振り乱した髪がべっとりと肌に張り付き、全身に鳥肌が浮き上がっていた。

泣いているのか、

それとも笑っているのか。

レイの表情は髪に隠れ、何も推し量ることはできなかった。

「……レイ」

震える声で少女の名を呼んだ。

レイは息を乱したまま、何も応えてはくれなかった。

「レイ……」

もう一度名を呼び、少女の両手を掴んで引き起こす。そのまま胡座をかいた体勢で少女と向き合い、ひび割れた唇をむさぼるように奪った。

執拗に舌を絡め取ると、レイもまたそれに応えるように息を荒げた。

繋がったままの股間が疼き、狂おしい快楽が脳髄を突き抜けた。

ふいにレイが唇を離した。

「好きよ」

レイは僕の胸に顔を埋め、濡れた唇で鎖骨を舐めた。

「パパ」

その声を聞いた瞬間、激しい悪寒が僕の背中を駆け抜けた。

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