インビジブル・ブルー
『私の処女を奪って』

『自分の胸に聞いてみれば』

『ママ』

『好きよ』

『パパ』

ああ、やはり……

鈍器で頭を殴られたような激しい衝撃とともに、全身から血の気が引いていく音が幾筋も聞こえた。

このまま胸に押し殺してしまおうと思っていた感情が、僕の中で堰を切ったように溢れ出した。

僕は今、自分の娘を犯している。処女を散らし、笑っている。

鬼畜。悪魔。

やはり僕は狂っている。

あの時、のたれ死んでおかなければならない人間だったのだ。

なのになぜ。

なぜ僕は生きているんだ?



――寒い。

背中が、寒い。

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