インビジブル・ブルー
「知ってる?」

額を僕の胸に埋めたまま、レイは淡々とした口調で続けた。

「ママったら、あなたが絵を画廊に持ってくるたびに、それを片っ端から買い集めてたのよ」

「……馬鹿な」

僕は耳を疑った。とても信じられない話だった。

「どんだけお金がなくても、あちこち借金して、体まで売ってね。それでもママは幸せそうだった」

レイが熱い吐息を零した。

いつしか出血も止まり、固く閉じていたレイの牝貝が、腰の動きに合わせて妖しく蠢き始めていた。

僕は股間を屹立させたまま、呆然とそれを見下ろしていた。

レイの口から明かされる事実に、為す術もなく打ちのめされていた。

僕は何も知らなかった。

知らないと言うことがこれほど惨めだとは思いもしなかった。



結局僕は、養われていたのだ。

彼女が稼ぎ、かき集めた金で、今までのうのうと生きていたのだ。

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