インビジブル・ブルー
「ありがとう」とレイは言った。

「ガクのおかげでパパに会えた」

そう言って微笑むレイの周りが、見る間に血溜まりで埋め尽くされていった。

「……なんで」

僕は愕然と立ちつくした。レイが動脈を切ったことは一目瞭然だった。

レイの顔から生気が消えていく。

ぐにゃりと体がよろけ、床に仰向けに倒れ込んだ。

昨日の今日だ。もともと貧血気味だったレイの体には、もはや立っていられるだけの血が残っていないようだった。

「なんでだよ!」

抱き寄せると、レイは「ママのところに行くの」と言って微笑んだ。

僕とこうして繋がったまま、僕の目の前で死んでみせることが、僕と彼女への精一杯の復讐なのだと。

「こ、れ」

最後の力を振り絞り、レイが血みどろになった手を僕に差し出した。手には、小さな石が握られていた。

「畜生!止まれ……止まれよ!」

ガクがレイの腕を掴み、懸命に傷口を押さえながら叫んでいた。

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