インビジブル・ブルー
「畜生、止まらない……くそお!なんで止まんねーんだよ!」

静かに流れていく時間の中で、ガクの叫び声だけが乱反射していた。

「レイ……行くなよ、なぁ……」

ガクがうずくまった。

悲痛な叫び声は、いつしか泣き声に変わっていた。

痛みを忘れたはずの男が、張り裂けそうな痛みを訴え、泣いていた。

「ごめんね」

少女はガクに囁いた。

「黙れ!うるさい!誰が死んでいいって許したよ!」

ガクは何度も頭を振った。まるでだだをこねる子供のようだった。


僕はふと思った。もしかすると二人は以前から知り合いだったのではないかと。だからレイはこの森に来れた。

恋人なのか、あるいは義理の兄弟なのか。

しかしもう、そんなことはどうでもいいことだった。

レイが瞳を閉じた。

まるで眠るように息が途絶えた。

長い睫毛に溢れた涙が、一筋の光となって頬を伝った。

まだ柔らかい手のひらから、コトリと透明色の石が床に落ちた。

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