インビジブル・ブルー
僕は黙って首筋を掻いた。

また一人おかしなヤツが迷い込んできやがった。そう思うと可笑しもあり、神様とやらを呪い殺したくもあった。

「死ぬぞ」

取り敢えず言っておいた。見る限り動脈を切った様子はない。腕を縛ればすぐに血は止まるだろう。

レイと名乗った少女は、覚束ない足取りで腰を落とし、僕のズボンに手をかけた。そのままズルズルと脱がせていく。

「何の真似だ?」

「犯せよ」

「止めとけ。死ぬぞ」

レイはなおもズボンをずり下げ、だらりと垂れたペニスに唇を寄せた。

ささくれた唇と舌の感触とともに、かび臭い異臭が鼻についた。なにせもう何日も風呂に入っていない。

それでもレイはその薄汚れたものを喉の奥深くに含み、生気の失せた顔を上下に動かした。

その間も、ナタでえぐれた腕からは血が流れ続けていた。

白いシャツの袖は真っ赤に染まり、まるで栓の緩んだ蛇口のように、幾筋もの血が指先から滴り落ちていた。

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