インビジブル・ブルー
「狂ってやがる」

冷たく言い放つと、ようやくレイは顔をあげた。その顔は憎悪に醜くゆがみ、年老いた山猫のようにも見えた。

僕は、この目の前の少女に少しだけ興味を持った。

なぜ僕に執着するのか。何が少女をそこまで駆り立てるのか。そのわけを訊いてみたくなった。

レイはどれだけ舌を滑らされても反応しないペニスを吐き出し、苛立たしげに茎の付け根に歯をあてた。

鋭い痛みが走った。

少女は眉間を寄せ、奥歯を噛みしめた。まるで野良犬だ。

「食いちぎるつもりか?」

好きにすればいい。と僕は思った。

こんな俗世とはかけ離れた場所では、男の性器など毛ほどの役目も果たさない。いっそこの狂った少女に噛み切られるなら、それはそれで構わない。

僕はもう一度空を見上げた。相変わらず雲ひとつない青が広がっていた。

でも違う。



その青は、僕が求める色じゃない。

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