インビジブル・ブルー
2
「で、誰なの?この子」
余った包帯を手際よく丸めながら、ガクが言った。艶やかな髪をポニーテールに括り、細長い指で針と糸を片付けていく。慣れたものだ。
「知るかよ」
森の中で倒れたきり、少女は眠り続けていた。昼間の奇行が幻かと思えるほど、あどけない寝顔だった。
「身元を確かめられるような物も持っていないようね」
「ああ」
ランタンだけの薄暗い部屋に、ガクの横顔と少女の手足が白く浮かんでいた。
「血が騒ぐわ」
ガクが口元を歪めた。
だろうな、と心の中で相づちを打つ。
ガクは縄師だ。それも「カリスマ」と冠名をつけてもいいほど、地下の世界には熱狂的なファンが多い。
中性的で眉目秀麗な容姿のせいもあるだろうが、何よりその繊細かつ独得な縛りのフォルムが、女の内に潜む淫靡な魂を生々しく揺さぶるのだとか。
だが、僕に言わせればコイツはただのイカれたSMオカマ野郎でしかない。しかもロリコンときている。
「で、誰なの?この子」
余った包帯を手際よく丸めながら、ガクが言った。艶やかな髪をポニーテールに括り、細長い指で針と糸を片付けていく。慣れたものだ。
「知るかよ」
森の中で倒れたきり、少女は眠り続けていた。昼間の奇行が幻かと思えるほど、あどけない寝顔だった。
「身元を確かめられるような物も持っていないようね」
「ああ」
ランタンだけの薄暗い部屋に、ガクの横顔と少女の手足が白く浮かんでいた。
「血が騒ぐわ」
ガクが口元を歪めた。
だろうな、と心の中で相づちを打つ。
ガクは縄師だ。それも「カリスマ」と冠名をつけてもいいほど、地下の世界には熱狂的なファンが多い。
中性的で眉目秀麗な容姿のせいもあるだろうが、何よりその繊細かつ独得な縛りのフォルムが、女の内に潜む淫靡な魂を生々しく揺さぶるのだとか。
だが、僕に言わせればコイツはただのイカれたSMオカマ野郎でしかない。しかもロリコンときている。