仮面夫婦のはずが、怜悧な外科医は政略妻への独占愛を容赦しない


「大知さ……っ」
「そんなうっとりした顔見せられたら、堪えきれなくなる」

 ゆっくりと胸元に手が伸びてくる。先端をくにくにと摘ままれると、下腹部までキュンと疼いた。

「あっ、ダメっ」
「このまま入りたい」
「だ、だめです。大知さん獣みたいですよ」
「獣か。間違いではないな」

 にやりと笑う猛獣。もう、こうなっては止まらないのは、この数日で学んだ。 

「んんっ……あぁっ」
「杏、可愛い。こっち向いて。顔見せて」

 顎を引き寄せられ、唇は奪われっぱなし。下腹部は下から突き上げられ、もう悲鳴しかあがらない。

「だいちさっ……やっ、あぁぁ」

 強引で、ちょっと意地悪で、でもそんな彼が杏の初恋の相手で最愛の夫。

 結局二人の世界にどっぷりつかってしまい、朝まで求め合った。
 


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