国際弁護士はママとベビーに最愛を誓う~婚姻解消するはずが、旦那様の独占欲で囲われました~
きちんと言葉にしない私に久嗣もイライラしだし、「意味がわからない」と舌打ちをする。

「もともと凌太が一歳になるまでのお試し結婚みたいなものだったでしょ」
「だから?」
「もう結果はわかったって言ってるの。これ以上、久嗣と夫婦は続けられない」
「具体的になにがネックなのかを聞いてるんだ。具体的に」

本音を隠しながらの主張は徐々にたどたどしさを増し、対照的に久嗣の問い詰め方は弁護士らしく、冷静でしつこいものになる。

「具体的に具体的にって……。だから! 最初からこんな結婚は無理だったの。凌太を妊娠したから形だけ夫婦になっただけじゃない」
「さっきから支離滅裂だ。なにかストレスになっているなら言えばいいだろ」

一緒にいる時間が少なくてまともに喧嘩をしたことがなかったが、久嗣は怒ると相手をヒートアップさせるタイプのようだ。時差で体調が悪いせいや、昨夜の寝不足が原因かもしれないけれど。
それに私も戸惑っている。久嗣だって期限が来れば離婚するつもりだろうからすぐに同意するものと思ったのに、ここまで強く反論されるのは計算外だ。
しかしこちらも売り言葉に買い言葉が止まらない。

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