国際弁護士はママとベビーに最愛を誓う~婚姻解消するはずが、旦那様の独占欲で囲われました~
「だから久嗣といるだけでストレスなんだってば! これからは私と凌太のふたりで生きていきたいの!」

ハァ、ハァ、と息が荒れるくらいに苦しくなった。
思っていることと正反対の言葉を口にするのは、もどかしさで頭が痛くなる。

「もう終わりにしたいの……お願い、終わりにさせて……」

放った言葉をどうすることもできず、顔を覆って泣き崩れる。きっと私は「もう微かな希望に期待するのはやめろ」と一番に自分へ言い聞かせているのだ。

「私、まだ離婚についてなにもわかってないけど……。きっと久嗣の方が詳しいよね。養育費とかそういうの。私もがんばって翻訳家で自立するつもりでいるけど、離婚後も凌太が不自由しないための協力はしてほしい」
「……勝手に話を進めるな。俺は納得していない」
「凌太は久嗣の子なんだよ? そっか、育ててないから実感なんて湧かないか。まともに遊びに行ったことなんて数えるほどしかないもんね。たしかに凌太は久嗣の手を借りなくても育てられるよ。でも、お金は別。親としての責任は果たして」

久嗣はなにも言わなくなり、下を向いた。
少し幻滅した。残念だ。彼は責任感の強い人だと思っていた。

< 25 / 115 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop