国際弁護士はママとベビーに最愛を誓う~婚姻解消するはずが、旦那様の独占欲で囲われました~
ニューヨークでの出会い
出会いはニューヨーク。私が二十四歳、久嗣が二十六歳のときだった。
小学校低学年まで父の仕事の都合でニューヨークに住んでいたが、祖父母の面倒を見るために日本へ戻ってからというもの、一度も渡米していなかった。
二十四歳になってから改めてこの地へやって来て思ったことは、よくもこんな情報過多な街で、ここまでマイペースな自分に育ったものだということ。そしてここは傷心旅行にはまったく向いていないということだ。
昼間は、SNSで連絡を取っていた旧友のエミリーと会い、ショッピングを楽しんだ。十数年ぶりの再会だったが、彼女はその後、彼氏の家族とホームパーティーをする約束になっているらしい。『玲菜も来なよ』と軽いノリで誘われたが、今の私はそういう場で楽しめるような心の余裕はなかった。
エミリーと別れ、ニューヨークシティを徘徊する。すぐにホテルに戻ってもよかったが、この時点で私の心はなにひとつ癒えてはいなかった。