国際弁護士はママとベビーに最愛を誓う~婚姻解消するはずが、旦那様の独占欲で囲われました~

ふと、人気のシネマシアターが目に入った。宇宙プラネットへの入り口のようなそこへ自然と足が向く。ありがちなラブロマンスに吸い寄せられ、なにも買わずにシアターへと入った。
ゆったりとしたサイズのリクライニングシートに腰掛け、この時間だけはなにも考えず、目の前で勝手に繰り広げられる空想の世界に浸ろうと考えた。

娯楽としてラブストーリーを見るのはいつぶりだろう。翻訳する原作もラブストーリーが多いのに、それらは仕事の一部になっていた。
それどころか、最後に恋愛をしたのはいつだったかも思い出せない。

ぼんやりと見続けた中盤、素直になれない映画のヒロインがついに彼に電話番号を手渡し、
『You can throw it away, if you don`t want to contact me.』
と消え入りそうな声でつぶやく。
私は復唱していた。

「You can throw it away, if you don`t want to contact me.」
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