国際弁護士はママとベビーに最愛を誓う~婚姻解消するはずが、旦那様の独占欲で囲われました~
そうかきっと、こうやって女性を相手にするのも慣れているんだろう。仕事もできて頭もよくて、その上女性をスマートに誘える。ニューヨークでたまたま会った日本人が私だったから、私に白羽の矢が立ったというだけだ。

「口数が減ったな」
「頭いいんだなぁって……。私、あまり頭よくないので墓穴を掘りそうで」
「なんだそれ。十分だろ」

翻訳家であることを指してそう言っているのだろうか。私は帰国子女からスタートしているのだからすごくはない。

「翻訳だって努力や才能が必要なんじゃないのか。それに頭のよさなんか重要じゃない。玲菜はシネマで全員の視線をかっさらったじゃないか。さすがは元ニューヨーカーだ」
「やめてくださいよ……!」

久嗣さんと話すうちに自然と笑顔がこぼれていた。久しぶりにこんなに楽しい気持ちになったが、はたして彼とこの先になにがあるのだろう。
紳士的にホテルへ帰してもらえるのか、それともワンナイトに誘われるのか。どちらの可能性も五分五分に思え、私は答えが知りたくてうずうずしていた。しかし正直、心の準備はできていないし、それにどちらになっても彼とは今夜限りで終わってしまう予感がしている。
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