国際弁護士はママとベビーに最愛を誓う~婚姻解消するはずが、旦那様の独占欲で囲われました~
ニューヨークの夜からちょうどまる一年後、私と彼は再会することになる。

この日、私はマイジェンR&Dの東京事務所を訪ねた。翻訳を担当した原作者が著作権について揉めているようで、私にも話を聞きたいという連絡を出版社経由で弁護士からもらったのだ。
ブラウスにジャケット、タイトスカートという硬い服装で来た。
年配で物腰のやわらかい弁護士といろいろと話をしたが、翻訳を担当しただけの私には特段証言できることはなく、これきりで終わりになるらしい。

マイジェンR&Dは国内五大事務所のひとつと言われるほどの最大手であり、国内外の重要案件を手広く担っている。そのうちこの東京事務所は日本の中枢事務所であり、さすがはビルすべてのフロアで人が忙しなく出入りし、今しがた出張から戻ったのではないかというスーツケースを引いた弁護士ともすれ違う。
弁護士というと、忘れなければと思うのに頭に浮かんでしまう人がいる。
あの人は今どうしているんだろう。
ううん、もう考えたって意味ないのに……。

「OK. We will inform you of the details when we get them.」

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