国際弁護士はママとベビーに最愛を誓う~婚姻解消するはずが、旦那様の独占欲で囲われました~
その夜はずっと背を向けて寝ていたから、久嗣がどんな顔をしていたのかわからなかった。

翌朝、私は早起きしてお弁当を作り、テキパキと荷物の準備をした。
私は動きやすいデニムと白のキルティングジャケットにスニーカー姿、久嗣もいつもよりラフなテーラードジャケットを着ている。
外は予報通りの晴天で、荷物を積んで車を走らせると心地よい風が車内に吹き込んできた。

「あ! あ!」

後部座席のチャイルドシートにいる凌太は、窓の外を見ながら手を叩いて喜んでいる。

「ご機嫌だな、凌太」

久嗣は運転しながら、バックミラーで凌太の様子を確認する。

「信号が好きだからね。色が変わるとこうやって声出すの」
「信号? へえ」

知らなかったの?と真っ先に言いたくなったが、口を閉じる。凌太の前では楽しい話をしていたい。

「たぶん、赤とか青とか色の違いもわかってると思うよ。信号の色の積み木の色には反応するもの」
「すごいな」

窓の外の様子と凌太の他愛もない話は続き、目的地へ到着した。
『森の丘公園』という都会の中に広々と作られた公園で、休みになるとカップルや家族連れが多く訪れる。
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