国際弁護士はママとベビーに最愛を誓う~婚姻解消するはずが、旦那様の独占欲で囲われました~
レンガの遊歩道が公園を一周するように作られ、その真ん中は緑の芝生と木々に囲まれた広場になっている。この時期は紅葉やケヤキ、イチョウが色づいている。
すでにレジャーシートを敷いてお弁当を食べていたり、小型のテントを張って過ごしている家族の姿があった。

久嗣はベビーカーを出し、凌太を抱っこしてそこへ乗せる。ベビーカーの取っ手に荷物の入ったリュックを括りつけ、遊歩道の散歩を始めた。
こんなに和やかな時間はいつぶりだろう。
久嗣は太陽の光に目を細めている。時差が完全に戻ってはいないはずだし、体調は万全ではないだろう。それでも今日はがんばって時間を作ってくれた。
これが毎週末続けば私だって寂しくはないが、きっとこれきりだ。最後に三人で出かけてから四か月ぶりくらいのレジャーだし、次はいつになるかわからない。
凌太が生後三か月の頃に一度だけ三人で温泉旅行に出掛けたことはあるが、久嗣はそこにノートパソコンを持ち込んで仕事ばかりしていたのを覚えている。
離婚せずにいたとしても、楽しい時間を待つ苦しい日々が待っている。だから、ふりだしに戻らず決断してしまったほうがいいのだ。

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