国際弁護士はママとベビーに最愛を誓う~婚姻解消するはずが、旦那様の独占欲で囲われました~
父親を奪うことは凌太にとってどんな影響があるのだろう。翻訳家に復帰してきちんと生活の基盤を作ってから別れるべき?
おかずの味がしなくなり、ただ喉の奥へと流し込む。
はやく答えを出さなければと思うのに、離婚を告げてから過ごすこの中途半端な時間が、しばらく続けばいいのにと思った。こんな毎日を送りたかった。
今からでもやり直せたら……。

考え込んでいる間に、凌太は食べ終え、目をこすり始めた。
ゆっくりとシートの上にタオルを敷いて寝かせ、ブランケットをかける。
凌太が静かになると、公園の家族の楽しげな声や、遠くでバドミントンを楽しむ姉妹の声が聞こえてきた。

「ちゃんと話したい」

そう切り出したのは久嗣だった。
私は「うん」と細く返事をし、足を三角に立てて抱える。

「玲菜には俺のこと好きって気持ちは、全然ないのか」

想定外の質問に言葉に詰まる。私はただ黙っていた。それだけは認めたくない。惚れた弱みを握られそうだ。
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