国際弁護士はママとベビーに最愛を誓う~婚姻解消するはずが、旦那様の独占欲で囲われました~
「俺は好きだよ。玲菜のこと」
胸にこみ上げてくるものが収まらず、「はっ?」と反抗的な声が漏れる。
落ち着け。騙されてはいけない。相手は凄腕の弁護士なのだ。私を好きだと言った方が有利になるのかもしれない。
「好きとか嫌いとか、考える暇なんてなかったわよ」
出張ばかりの久嗣を責めながらはぐらかす。
「……どういう意味?」
「久嗣は家にいないから。いない人に好きとか嫌いとか感じないもの」
「お前たちのために仕事に行ってるからだろ。俺だって遊んでるわけじゃない!」
今の言い方は腹が立った。誰がこんなに出張してなんて頼んだっていうの。私たちのためだなんて言わないでほしい。仕事のことしか考えていないくせに。
眠っている凌太を見つめて黒い感情を抑えるが、次第に耐えられなくなってきた。
「じゃあ答えるけど。好きだったら別れたいなんて言わないよ」
久嗣への気持ちは捨てるのだ。今は嘘かもしれないけど、いつか忘れられる日が来るはず。私は決意のもとに、彼に告げた。