国際弁護士はママとベビーに最愛を誓う~婚姻解消するはずが、旦那様の独占欲で囲われました~
揺れる心と独占欲

ぎこちないまま、数日が過ぎた。

「玲菜」

久嗣は出勤前、まだ凌太が寝ているうちに私を起こした。
顔を合わせるのは気まずいから、わざわざすぐに食べられるよう朝食を冷蔵庫に用意しておいたのに、全部済ませてスーツ姿になった彼は寝たふりをしていた私を揺する。
もちろんなにもなかった一夜が明けていきなり体に触れられ、驚いて上半身を起こした。

「な、なに?」
「悪い。伝え忘れたことがあって。明日から出張になってたけど、なくなったから」

頭の中で「え?」とつぶやく。
明日から、いつもより短い日程で、一泊三日の出張が入っていたはずだ。

「……どうして?」
「今は出張してる場合じゃないと思って。ちゃんと玲菜と話したいから、キャンセルした」

なにそれ。そんなに簡単にキャンセルできるものなの?
ここまで破綻していてもうれしさを感じてしまうが、同じくらい怒りもふつふつと沸いてくる。
だったらどうして、今までそれをしてくれなかったの?

「会社に迷惑かかるでしょ。私のためとかならそういうのいい」
「チームでやってるから大丈夫だ。俺が玲菜といたいんだよ。今離れてひとりにしたら、また変な方向に考えるだろ」

まるで今の私が血迷っているみたいに言い方だ。変な方向ではない。こんな状態、私だけじゃなくて誰でも離婚を考える。
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