国際弁護士はママとベビーに最愛を誓う~婚姻解消するはずが、旦那様の独占欲で囲われました~
夕飯のためにハンバーグと玉ねぎのソースを仕込んだ。今夜は岩浜さんが作ったものではなく、私がすべて用意したい。
帰ったら驚くかもしれない。朝はあんな態度をとってしまったのに、帰ったら妻の機嫌が直っているんだもの。イタズラを仕掛けた気分でふふふと笑みがこぼれる。
「パ!」
伝え歩きをする凌太が手になにか持って、ソファを伝って歩いてくる。
「あ! ダメだよこれ。パパの時計だよ」
久嗣がいつも着けている革の腕時計をうれしそうに振り回していたため、慌てて取り返す。朝着けて行くはずが珍しく忘れて出掛けたようだ。定位置であるチェストの上に戻し、さらに凌太の手が届かないように奥へ寄せる。
いまは午後三時。六時には帰ると言っていたから、あと五時半には仕事を終わらせて事務所を出るのだろう。
こうして帰の時刻が迫ると決まって私は耐えられなくなり迎えに行ってしまうが、今日はそれでもいいのではないかと思いつき、凌太に「パパ迎えに行く?」と聞いた。