国際弁護士はママとベビーに最愛を誓う~婚姻解消するはずが、旦那様の独占欲で囲われました~

凌太が寒くないよう上着のほかにブランケットをかけた。ホットコーヒーを注文して飲みながら、凌太にはベビー用の煎餅を一枚だけ手渡す。
もう少し経ったら、ここで待っていると久嗣に連絡しよう。

凌太にほとんど絵だけの本を見せながら、「これは?」と指をさして話しかける。こんな日もいいな。何週間も家で待つのはつらいけど、会社前で久嗣を待っている時間は、私は好きなのだ。

「加能先生、次のニューヨーク出張行かないらしいよ」
「えっ、そうなの?」

隣のテラスから聞こえた声に、息が止まった。凌太との会話が途切れて背中に神経が集まる。
ここへ来るとき隣のテラスの女性たちを見たが、ビジネスカジュアルを着たキャリアウーマンのふたり組だったと記憶している。
加能先生とはきっと久嗣のことだろうから、ふたりは事務所の関係者かもしれない。ここのカフェはマイジェンの近くだから、外訪などで外へ出たついでに寄ってもおかしくはない。
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