国際弁護士はママとベビーに最愛を誓う~婚姻解消するはずが、旦那様の独占欲で囲われました~

「今日、カフェの前でなにしてたんだ」
「え? だから、久嗣を待ってたんだよ。凌太が会いたがってたから。それ以外なにがあるの?」
「誰かに手を振ってたろ。誰に会ってた?」

久嗣はココアをひと口も飲まないまま、私を睨みつける。手を振っていた相手は健司くんだが、今は久嗣に知られたくない。仮にも健司くんは弁護士なのだ。今日は本当に偶然会っただけだけど、会っていたと勘違いされたら変に受け取られる。それこそ離婚について相談していたと捉えられてしまいそうだ。

「な、なんでもない。友達に会っただけよ」
「なんの友達?」
「大学時代の!」
「……相手は男だったよな。しばらくカフェで話してたろ。凌太にも触らせてた」

カマをかけられた。一部始終を見ていたくせに、それを明かさず私に喋らせるなんてひどい。
しかし幸い、相手が健司くんだとは気づいていないようだ。そもそも久嗣は健司くんのことはたくさんいる親族のひとりとして挨拶を交わしたくらいで、顔も名前も覚えていないだろう。彼が弁護士を目指していたということも忘れているかも。
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