国際弁護士はママとベビーに最愛を誓う~婚姻解消するはずが、旦那様の独占欲で囲われました~
本当の夫婦に
土曜日はいつもより遅く、午前八時に目が覚めた。
久嗣は疲れているのか、まだ隣で眠っている。
今週の出張の予定はキャンセルになったものの、久嗣の仕事は変わらず忙しく、帰ったらすぐに就寝する毎日だった。
今週は互いにぎこちなかった。土曜に近づくたび、その日はいったいどんな一日になるのか、なにも言わずに探り合った。触れ合うこともしなかった。
すべては土曜に。そんな暗黙の了解が、私たちの間にあったのだ。
凌太の誕生日だけは愛し合おうと約束したが、私はまだ、久嗣がどうしてそんなことを言い出したのか本心を聞いていない。
それだけじゃない。健司くんとのことを知ったとき、どうしてあんなに激昂したのかも知らないままだ。
『ほかの男のところへは行かないでくれ』
あれは、嫉妬以外にどう受け取れる?
『一日だけでいいから、俺のこと愛して』
あれも。愛してと懇願する理由は、私の想像する答えのほかに、なにかあるだろうか。
不安と半々だった期待はやがて膨らんでいき、彼の望みは本当は私と同じなんじゃないかという予感が、どんどん確信に近づいていく。そんな状態で迎えた約束の日である土曜は、清々しい気分だった。