Dear my girl
「ん……っ、や、あっ、もう……も、これ、やぁあっ、」
後ろから抱きかかえられて繋がっていても、一孝は胸に触れるだけで動かない。
沙也子は身体の奥にくすぶる熱を持て余していた。
振り向きざまに涙目で訴えかけても、唇にキスが落ちてくるだけだった。
「沙也子……舌だして」
「ん……、んぅっ」
何も考えられなくて、言われたとおりに舌を出すと、まるで食べるみたいに唇を塞がれた。
身体の中にある彼の熱は全然動いてくれなくて。沙也子は腰をくねらせ、もどかしさに涙をこぼした。目尻をちゅっと吸われる。
「は……、さっきから甘イキ、かわい……」
「ぁっ、あ……っ、んんー……っ」
「自分で動いて、いいところ探してみて」
「……やっ、あぁ、やあっ……ん、」
声も呼吸も自分ではままならない。
部屋の外まで聞こえてしまったらと思うと、羞恥に涙が滲む。沙也子は必死に口元を押さえた。
「全部屋離れてる宿だから聞こえねえよ。声、抑えないで」
耳に直接吹き込むように囁かれ、沙也子は真っ赤になって首を振った。一孝に聞かれるのだって、いつも恥ずかしいのだ。
一孝は吐息だけで笑うと、身体を揺すり上げた。望んでいた刺激に、またすぐに昇りつめてしまいそうになる。
「あっ、あっ、だめっ、や……、まって、またっ、」
一孝に目を向けて懇願しても、動きはさらに速まるだけだった。声を飲み込むように唇を塞がれ、舌を絡めとられる。
沙也子はビクビクと身体を大きく震わせた。
一孝は沙也子をゆっくりと布団に横たえ、膝を割った。
「……悪い、もう少し付き合ってくれ」
耐えるように眉根を寄せていて、熱を帯びた瞳に胸の奥がぎゅっとなる。
甘く痺れるような快感が全身を浸していき、沙也子は一孝にしがみついた。
「はぁ……っ あっ、すずもとくん、も、きもちい……?」
「……すげー、気持ちいい」
ホッとしていると、一孝は汗ばんだ沙也子の前髪をかき上げ、額にキスを落とした。
瞼に頬にとキスを繰り返し、また唇を重ねる。
深みを探られながら荒い吐息を混ぜ合い、沙也子は思考が白く染まっていくのを感じた。
強く求められて嬉しいけれど、身体は限界を訴えている。それでも心に反応するように、身体の奥は熱くなっていく。
心も身体も埋めつくされ、このまま本当にひとつになるのではないかと錯覚するほどだった。
いっそう強く抱き込まれ、甘い痺れが広がると同時に、瞼の下で光が弾けた。