Dear my girl
11.
中間テストが終われば、次は文化祭の準備が始まった。
なにをやるかは一学期のうちにすでに申請してあるらしく、沙也子のクラスは模擬店にしたようだった。
メニューはしゅうまいと餃子、杏仁豆腐にマンゴープリン。それとジャスミン茶やら烏龍茶を可愛いポットで提供する。
飲茶カフェとは、いいアイディアだと沙也子は感心した。
電子レンジとクーラーボックスとお湯があれば簡単にできるし、なにより接客班のチャイナ服が可愛らしい。特に森崎律は、誰もが感嘆の息を漏らすほどチャイナドレスが似合っていた。(当の本人は着ることにごねていたが、実行委員に頼まれた沙也子が説得した。)
沙也子はというと、不足していた裏方班に入ることになった。こちらはクラスで作ったTシャツを着るだけなので、気が楽である。
準備期間はかなり慌ただしいけれど、クラス一丸となって頑張るのは楽しかった。
テーブルクロスを赤で統一し、色とりどりの大きな紙でたくさん風船を作って、提灯を模したり。菱形に『福』と書いた吊るし飾りを作成し、パンダのぬいぐるみを持っている女子がいたら持って来てもらう。
そうして着々と中華風の小物が完成していく。
中学ではあまりイベントを楽しむ余裕もなく、入学した高校では体育祭と文化祭は一年おきで、沙也子は体育祭しか経験しないまま転校した。
みんなで協力して作り上げていく達成感は、得難いものがある。
沙也子は今まさに、学校生活を楽しんでいた。