クールなあおくんに近づきたい!〜あと10センチ、きみに届け〜
「へ…」


みんなの視線が私に集中する。


…私が、

逢和君の夢に出てくるお姫様?


『…寧々ちゃんは?そんな感じの夢見る?』

カベ君に聞かれて私は首を横に振る。

記憶を辿ってみても、逢和君の話に全くピンとこない。


『……ヒューイ』


考え込む私に逢和君が言った。


『夢の中での俺の名前。…なんか感じない?』


逢和君が、切ない目で私を見る。


「……ヒューイ……。」


日本人にはあまり馴染みのないその名前を、口に出してみる。


「…ごめん…わかんない」

『……そっか。』


逢和君の少し残念そうに笑う顔が、画面に映った。


「…」


逢和君は

私をサラだと思ったから近づこうとしてくれてた…ってこと、か。



『んー、他に手がかりないし、そもそもこの現象自体が夢みたいな話だしな…。調べてみる価値はありそうだな。食ったら中世ヨーロッパの伝記でも洗ってみようか。』

『「「はーい」」』


「…」

「…寧々?」

花乃ちゃんに声をかけられてハッとする。

「あ、うん、うん!はーい!」




ーー俺とその人は恋人みたいなんだよね






逢和君が好きなのは

私じゃなくて、夢の中の、サラ…?


ツキン。


…あっ、食べなくちゃ。

私はハンバーガーを口に入れて、動かす。

なぜか

さっきまでおいしかったはずのハンバーガーが、ゴムみたいな味になってて、

私は何も考えないように、必死に口を動かした。


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