クールなあおくんに近づきたい!〜あと10センチ、きみに届け〜
「なんかわかった?」


カベ君が聞くと、キヤ君がカラカラ笑いながら病院での逢和君を報告し始める。


「なーんも。どこ行っても超健康体です~で終わり。病院内たらいまわしにされて、最終的に心療内科行ったら診察室から『俺はどっちかっつーとSですから!!』ってチカのバカデカい声がして。くそ笑ったわ~」

「だってあの変態ヤブ医者、『あなたはマゾヒストですね』とか言いながら俺の手撫でてきたんだぜ?あ~、思い出すだけでも寒気がする。」

逢和君が自分の身体を抱きしめて顔を強張らせた。

「まー具合悪くなるの分かってて自分から突進してくやつ、Mと思われても仕方ないよなー。そっちは?」

「たった今、見つけたところ。これ。」

カベ君が本を見せると、逢和君がハッと顔をあげて食い入るように本を見る。


「イギリスの昔話。子供向けっぽい。全編英語の洋書だ。金髪ブルーアイズのヒューイ王子と、赤髪グリーンアイズのサラ王女の話。見たことは?」

カベ君から本を受け取った逢和君がまじまじとそれを見て、首を横に振った。


「とにかく読んでみよう。これ借りてくる。」

カベ君が言って、受付の方へと向かう。

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