クールなあおくんに近づきたい!〜あと10センチ、きみに届け〜
「これあげる。」



突然、逢和君が振りかぶった。



「!?」



飛んできたそれの鋭利さに、恐怖が勝って思わず目を閉じて手を引っ込めた。

ボスッとそれが草むらに落ちる。



「…フハッ。そうなるか。」



吹き出す逢和君を尻目に恐る恐る草むらに落ちたものを見ると、

青いシャーペン。

よく見るとサッカー日本代表のロゴが入ってる。


「…?」

「それ、俺が中学んときから使ってるお気に入り。あげる。」


得意げに言う逢和君は少年みたいで、可愛い。

というか、急にどうして?

不思議に思いながらもシャーペンを拾い上げる。



まだ、逢和君の温もりがかすかに残っている。






あ、どうしよう。

…嬉しい。



私がシャーペンを見て呆けていると、穏やかにタレ目を下げてる逢和君が手を伸ばした。



「寧々のもちょうだい。交換。」



…えっ

私のシャーペン?

待って、女子向けのキャラものばっかりだよ…!

ペンケースの中をゴソゴソと探す私に逢和君が「早く。授業始まっちゃう。」と急かす。

慌てて取り出したのは、猫のキャラクターのラメラメでキラッキラの黄色のシャーペン。

小学生の時に買ったやつだ。

逢和君ごめんね、こんなのしかないよ…!

私がシャーペンを投げようと振りかぶると、逢和君が右手を前に突き出してストップをかける。

「待って。投げなくていいや、怪我しそう。拾うからそこに置いて?」

…賢明な判断だと思いますっ!
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