クールなあおくんに近づきたい!〜あと10センチ、きみに届け〜
「…うん。チカのためでもあるし、自分のためでもある。」

「…?」


カベ君は自分が見ていた棚をもう見終わったらしく、私が見ていた棚の端に移動する。


「ダメだと分かってても自分ではどうしようもない気持ちって、あるでしょ」

「どうしようもない…気持ち…?」


私の逢和君に対する気持ちみたいなことかな…


「…うん。あるね。」

「その気持ちと折り合いをつけるために、必要なことなんだ。」

「…そうなんだ…?」

うーん、いまいちよくわからないな…?

「よくわからなくていいんだよ」

「!?」


私の心を読んだみたいな返事にビクッとする。

そんな私にカベ君はいつもの大人びた笑顔じゃなくて、「ハハッ!」と少年っぽい無邪気な笑顔を見せた。


わ、カベ君そんな顔するんだ!

ファンの子が見たら失神しちゃいそうだなぁ。


カベ君はその笑顔のまま本棚に目を戻すと、





「かわいいなぁ…」





と、独り言のように言った。





「えっ」





か、

かわいい…?




私がかたまると、





「…あ」


カベ君がしまった、という顔をする。


「……こ、子犬みたいで、可愛いって意味だよ」
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