クールなあおくんに近づきたい!〜あと10センチ、きみに届け〜
カベ君の眼鏡の奥の目は切なそうに細められていて

私の手を掴むスラリと長い手は思いの外、熱くて

声が、出せない。





『チカじゃなかったら』って…

どういうこと?

カベ君、何か知ってるの?





その時、図書室の扉が開く気配がして、

カベ君がハッと手を離す。




入口の方から女の子の声がする。


「突然呼び出してごめんね、逢和君…っ」




逢和君…!?




気になってのぞいてみると、無表情の逢和君と、俯いて少し恥ずかしそうにする、苗村さんがいる。

そして二人がこっちに向かってくる。



え、あ、どうしよう…!



「(寧々ちゃん。こっち)」



カベ君が小声で私を手招きして、2人にバレないようになるべく離れたところの本棚の影に身を潜めた。
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